テストの点数が悪かった時、なんて声をかける?

答案を見た瞬間に出てしまう一言が、子どものやる気を左右します。北海道美瑛のまなふく先生が、点数そのものより先に伝えたい声かけのコツをお話しします。

①まなふく先生より

こんにちは、まなふく先生です。
前回は「早くしなさい」についてお話ししましたが、今日は少し季節が進んで、8月末に学力テストを終えたお子さんも多いこの時期に向けたお話です。
美瑛の丘も、夏の緑から少しずつ色を変え始めました。子どもたちの学びも同じように、季節ごとに違う顔を見せます。得意な単元がすらすら解ける時期もあれば、範囲が広がって手が回らなくなる時期もあります。テストの点数は、その時々の「今」を映す一枚の写真のようなものだと、私は思っています。

②答案を見た瞬間、つい出てしまう一言

テストはとっくに返ってきているはずなのに、なかなか答案用紙を見せてくれない。「テストどうだった?」と何度か聞いて、ようやく渋々出してきた答案。広げてみて点数を見た瞬間、こんな言葉が口から出てしまったことはありませんか。
「え、なんでこんな点数なの」
「この前もっと勉強したって言ってたよね」
「平均点はどれくらいだったの」
学び舎びえいに通う保護者の方からも、よくこんな声を聞きます。
「点数を見た瞬間、頭が真っ白になって、気づいたら責めるような言葉が出ていました」
「本当は励ましたかったのに、がっかりした顔をそのまま見せてしまいました」
「子どもが答案をすぐに隠すようになって、それがさらに心配です」
どのお気持ちもよく分かります。保護者の方は、子どもの将来を思うからこそ、点数に一喜一憂してしまうのだと思います。

③なぜその一言が逆効果なのか

結論からお話しします。点数への評価が先に来る声かけは、子どもを「次こそ頑張ろう」ではなく「隠したい・見せたくない」という気持ちに向かわせやすいのです。
テストの点数を見た保護者の方の反応は、子どもにとって「自分がどう見られているか」を映す鏡になります。がっかりした顔や責める言葉を受け取ると、子どもは点数そのものより「親を失望させた」という感覚を強く持ってしまうことがあります。そうなると、次のテストに向けて頑張るエネルギーよりも、失敗を隠したい・見られたくないという気持ちの方が先に立ってしまいやすくなります。
教育心理学の分野では、結果そのものより努力や取り組み方に注目する声かけの方が、子どもが挑戦し続ける力(いわゆる成長マインドセット)を育てやすいという考え方があります。ただし、これは研究で見えてきた傾向のお話で、どの子にもぴったり当てはまるとは言い切れません(お子さんによって感じ方は違いますので、その点は要確認としてお伝えしますね)。
もう一つ大事なことがあります。点数は、その子の「今の理解度」を示すものであって、その子の価値そのものではありません。当たり前のことのようですが、点数を見た直後は、大人も子どもも、この当たり前を忘れやすいものです。

④場面別の声かけの工夫

ここからは、実際に使える声かけの例を3つの場面に分けてお伝えします。

答案を見た直後(感情が動いている瞬間)

点数を見て、すぐに評価の言葉を発する前に、こんな一言をはさんでみてください。
・「見せてくれてありがとう」(まず受け取ったことを伝える)
・「今回、どの教科が一番時間をかけた?」(点数より過程に目を向ける)
・「自分ではどう感じてる?」(本人の受け止め方を先に聞く)
そしてもう一つ、答案の中から必ず一つは良いところを見つけて、具体的に伝えてみてください。全体の点数が低くても、探せば必ず何かあります。前回できなかった問題が解けていた、途中式が丁寧に書けていた、最後まであきらめずに解こうとした跡が見える――そうした一つを見つけて、「ここ、ちゃんとできてるね」と言葉にすることが、次への一歩につながります。
大人がまず落ち着いて受け止める姿を見せると、子どもも安心して本音を話しやすくなります。

一緒に見直しをする時

点数の話が一段落したら、次はできなかった問題との向き合い方です。
・「どの問題が一番難しかった?」(つまずきの場所を一緒に探す)
・「ケアレスミスと、まだ理解できていないところ、どっちが多そうかな?」(原因を分けて考える)
・「この問題、もう一度一緒に解いてみようか」(責めずに次への行動に変える)
見直しの目的は「なぜ悪かったか」を追及することではなく、「次に何をすればいいか」を一緒に見つけることです。

次のテストに向けて

最後は、次に向けての声かけです。
・「前回と比べて、できるようになったところはどこかな」(他人とではなく、その子自身の変化に注目する)
・「次のテストまで、どんなペースで進めたい?」(本人に計画を考えてもらう)
・「点数が上がっても下がっても、頑張ったことは知ってるよ」(結果によらない安心感を伝える)
平均点やきょうだい・友達との比較ではなく、その子自身の伸びに目を向けることが、次への意欲につながりやすいようです。

⑤うまくいかない日があってもいい

大事なことをひとつお伝えします。
答案を見た瞬間に、つい厳しい言葉が出てしまう日があっても、まったく問題ありません。
保護者の方も人間です。仕事や家事で疲れている日、期待していた分だけがっかりが大きい日もあります。そんな日に、思わず「なんでこんな点数なの」と言ってしまうのは、自然なことです。
私がお伝えしたいのは、「毎回完璧な声かけをしましょう」ということではありません。「こういう聞き方・伝え方もある」という引き出しを、少しだけ増やしていただきたいということです。
たとえ今回言い過ぎてしまったとしても、後から「さっきはごめんね、驚いただけなんだ」と伝え直すことはいつでもできます。子どもは、その伝え直しもちゃんと覚えています。

⑥今日、ひとつだけ試してみませんか

長くお話ししましたが、伝えたいことはシンプルです。
テストの点数を見た瞬間の一言は、子どもにとって「次も頑張ろう」と思えるかどうかの分かれ道になりやすいものです。評価の言葉より先に、まず受け取ったことを伝え、原因を一緒に探し、その子自身の伸びに目を向けると、子どもは少しずつ自分から次に向かいやすくなります。
今回のテストの結果がどうであれ、すべてを変える必要はありません。
次に答案が返ってくる日、ひとつだけ、いつもと違う言葉をかけてみてください。
うまくいかなくても大丈夫です。また次のテストで、試せばいいのです。
ここまで読んでくださったこと自体が、もう十分にがんばっている証拠です。テストの結果に一喜一憂しながらも、子どものために振り返りの時間を作ってくださっている。そのことを、まず私は労いたいと思います。
点数がどうであれ、お子さんは、保護者の方が思っている以上に、答案を見せた後の反応をよく覚えています。完璧な声かけができたかどうかよりも、「見せた後も、ちゃんと受け止めてくれた」という積み重ねの方が、実はずっと大きな意味を持っています。
もし、テストの結果への向き合い方や、次に向けた勉強の進め方で悩んだときは、一人で抱え込まずに誰かに話してみるのも一つの方法です。学び舎びえいでは、点数そのものだけでなく、お子さんが次に向かう気持ちをどう支えるかについても、保護者の方からご相談をいただくことがよくあります。
今日も一日、お疲れさまでした。丘の上から、いつでも応援しています。

まとめ

・テストの点数を見た瞬間の評価の言葉は、子どもを「次こそ頑張ろう」ではなく「隠したい」という気持ちに向かわせやすいものです。
・結果より努力や取り組み方に注目する声かけが、挑戦し続ける力を育てやすいと言われています(ただし効果は子どもによって異なるため、断定はできません)。
・「まず受け取る」「原因を一緒に探す」「その子自身の伸びに目を向ける」の3つを意識すると、子どもは次に向かいやすくなります。
・厳しい言葉が出てしまった日も、後から伝え直せば大丈夫です。
・完璧な声かけよりも、「見せた後も、ちゃんと受け止めてくれた」という積み重ねの方が、子どもにはずっと大きな意味を持っています。

次にやってみること
次にテストの答案が返ってきたら、点数を見てすぐに評価するのではなく、「見せてくれてありがとう」と、まず受け取ったことを伝える一言から始めてみてください。うまくいかなくても、また次のテストで試せば大丈夫です。

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